「万年少女人形館」作品集

ガラスのひとみのお人形。お菓子のようなブローチ。その世界に触れたみんなの心をとらえてはなさないまま、2011年晩秋 安らかな眠りについた葉子の作品集。愛おしさをこめて、文庫サイズのかわいらしい本ができあがりました。memorial photo book万年少女人形館 作品集人形と小物 葉子写真と構成 稲村光男発行元 点滴堂24枚の写真がポストカード仕様になったA6サイズ(10.5cm×15c…

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アリス チェスタートン 柳田國男

また「アリス」の絵を描いてみよう。 そう思って、参考にと昔の「別冊 現代詩手帖」ルイス・キャロル特集号を書棚から出してきたら、ギルバート・キース・チェスタートンの評論「ノンセンスの擁護」に読み耽ってしまい、絵はちっとも進まなくなってしまいました。 「別冊 現代詩手帖」ルイス・キャロル特集号は、1970年代の「不思議の国のアリス」再評価のムーブメントの中心と…

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柳田國男「遠野物語」の100年

2010年6月、柳田國男の最も有名な著書「遠野物語」が刊行されてからちょうど100年。 明治43年6月、自費出版でわずか350部ほどが刷られたというこのささやかな東北の小都市の説話集が、柳田國男という近代日本を代表する知の巨人の原点となり、日本民俗学はもとより、この1世紀にわたって思想・文学の世界にどれほどの影響をおよぼしたことか。 そしてぼく個人も、もしこの一冊との出会いが…

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小池玉緒の歌う「人形劇 三国志」のエンディング・テーマと"Runnin' Away"

支那文学の四大古典小説のひとつ「三国志演義」は、近年の「レッドクリフ」などを例に出すまでもなく、いまなおさまざまな形で作品化されて続けているわけですが、ぼくにとっての「三国志」は、まず中学生の頃に読んだ吉川英治の小説。 吉川英治「三国志」(講談社文庫版) 全5巻 正直言って、個人的にはそのドラマツルギーにそれほど魅了されたわけではなく、吉川英治の作品の中では「宮本…

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小村雪岱の「文学としてのデザイン」 ~北浦和・埼玉県近代美術館の小村雪岱展に寄せて

日本人で最もすぐれたグラフィック・デザイナーは?という問いには、まず第一に小村雪岱の名を挙げたいと、ぼくは常々思っていました。 けれど、世間で小村雪岱の名前を耳にすることはほとんどありません。雪岱(せったい)の名の読み方さえ知られていないのではないのでしょうか? 最近では「芸術新潮」2010年02月号で雪岱のことを大特集している、というのでさっそくAmazonで見てみたら、内…

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2009年のふたご座流星群

ふたご座流星群がピークをむかえる夜更け、今年は月もなく条件がいいというので、ちょっとだけ寒さをこらえて外に出て、いくつかの流れ星を見ました。 いまから4半世紀も前になってしまいますが、中学生の頃はわざわざ日本流星協会から取り寄せた星図や観測用紙などを携えて、この流星群を観測してみたものです。 厳寒の中で何時間も夜空にむかっていたそのころでも見たことがなかったような、くっきりと…

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日本無罪モラトリアム Wikipediaのパール判事

久しぶりに「パール判事の日本無罪論」のおはなしを書きます。 今年の5月に発売した「日本無罪~パール判事トリビュートTシャツ」は、これまで東京裁判のことなどにまったく無関心だった方にも思いのほかご好評いただいているようで、先日の「26人のマトリョーシカ展」でご一緒した方からも「あのミュシャ風のイラストも稲村さんの作品ですよね」とお声をかけていただきました。 そん…

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下北沢のマリア 世田谷区の「ツリー」と「リゾーム」

9月の後半は、アンティーク雑貨屋さん「木曜館」クロネコボックスでの葉子の万年少女人形館の展示「にっぽんの子ども展」の準備などで、何度か下北沢へ。 下北沢の駅を南口へ出るちょっと急な階段を下りるときぼくはいつもきまって、後半生をこの街で暮らしたという森茉莉が、よくこの駅ですっ転んだということをどこかのエッセイに書いていたのを思い出してしまいます。 森茉莉 ぼやきと怒りのマリ…

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白土三平 - カムイ伝 ~再開と再会

崔洋一監督・宮藤官九郎脚本の映画「カムイ外伝」が松山ケンイチや小雪といったキャスティングで制作されたことには、正直言ってほとんど興味を持てずにいました。 たいていの場合、思い入れの深かった漫画作品が映画化・ドラマ化されても、あまり期待することはありません。 ただ、それとは別に、映画の公開と時を同じくして「ビッグコミック」10月10日号にて『カムイ外伝~再会~』の連載が開始、2…

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「ユリイカ」のミュシャ特集

本屋さんの雑誌コーナーで可憐で華麗なアルフォンス・ミュシャの絵が目にとまって手に取ってみると、「ユリイカ」の2009年9月号、表紙には「アルフォンス・ミュシャ 没後70年記念特集」とありました。 ユリイカ2009年9月号 特集=アルフォンス・ミュシャ 没後70年記念特集 「ユリイカ」という雑誌をよく読んでいたのは学生の頃のことで、気になる特集が予告されていれば…

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溝口健二の映画「雨月物語」とフェリーニの「道」

火曜日はBSで良さそうな映画をやるみたいだから早く帰って来れたらいいね、と言われていたのを思い出して、その日は急いで帰って、いつもより灯りを暗くして間接照明だけで夕ご飯を食べながらテレビを観ました。 映画は、溝口健二監督作品「雨月物語」。 良かった。久しぶりに心から魅きつけられて、打ちのめされるような思いがしました。 ぼくは映画のことにはとても疎…

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先祖の話 - 柳田國男とぼく自身のルーツについて

いつのころからか、お盆の頃になると柳田國男の名著「先祖の話」を通読し直すことが、ぼくの中で恒例の行事になっています。 柳田国男全集〈13〉 (ちくま文庫) 「先祖の話」「日本の祭り」「神道と民俗学」ほかを所収。 昭和20年、先の大戦の終結を目前にした連日の空襲警報の下で、靖国神社に祀られる若き兵士たちのみたまを念頭に、民族の信仰・他界観・日本人の死後の観念・霊魂のゆく…

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「リリー・マルレーン」と南京のまぼろし

好きなメロディ、といって思い浮かぶ歌のひとつに、「リリー・マルレーン」という古い歌があります。 You Tube : Lili Marlene with color pictures of the german army 映画「嘆きの天使」の100万ドルの脚線美で有名な女優マレーネ・ディートリッヒのレパートリーとして知られるこの歌の旋律を、ときどきふと思い出す。すると…

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美術手帖の伊勢神宮特集

本屋さんの雑誌コーナーに立ち寄ってみると、「美術手帖」2009年8月号で、先日ぼくらが初めて参詣したばかりの伊勢神宮が特集されているのが目にとまりました。 美術手帖 2009年8月号 さっそく手に取ってみると、表紙をはじめグラビア・ページでは女優の香椎由宇さんが、清らかな景色の中にミステリアスな独特の雰囲気を漂わせている写真が美しく、ぼくの記憶にも新しい伊勢神宮の…

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伊勢神宮 参拝の印象

大正13年に伊勢の神職の家に生まれ國學院へと進んだ歌人で国文学者の岡野弘彦さんが、若き日に師事した釈迢空・折口信夫博士との思い出を記した「折口信夫の晩年」という著作を、ぼくは単なる回想記にとどまらず、ひとつのすぐれた文学的価値のある稀有な作品として何度も何度も繰り返し愛読していて、これまでにも何度か引用してきました。 いまでは中公文庫版も品切となってしまっているようです…

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京橋の警察博物館

7月4日、アメリカ独立記念日の土曜日、京橋から銀座へむけてぶらぶら歩いていて、なんとなく思い立って警視庁の「警察博物館」へ立ち寄ってみました。 入り口には警視庁のマスコット「ピーポくん」に出迎えられる親子連れがいて、ぼくらはちょっと場違いかも、と危惧しながら入ってみたのですが、いざ入ってみるといきなり1階に展示されている警察ヘリコプター初号機「はるかぜ1号」を見て、この雰囲…

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リーバイ・ストラウス 三色すみれ=野生の思考 ワイルド・ホーセズ

16歳の頃から、ジーンズといえばリーバイスばかりはいています。 ぼくのような反米主義者が、こんなアメリカの象徴のようなファッションにこだわっているのがおかしい、と思われるかもしれません。 けれど、「悲しき熱帯」などの著作でヨーロッパ白人キリスト教文化を普遍とする観念に支配されていたアカデミズムに楔を打ち込んだフランスの構造主義文化人類学者クロード・レヴィ・スト…

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パール博士の日本無罪論

GHQの目を逃れ内密にパール判決書の出版準備を進めた田中正明氏が、サンフランシスコ講和条約の発効により占領解除となる昭和27年4月28日を期して全国の書店で名著「印度 パール博士述、真理の裁き・日本無罪論」の発売を成し遂げたという経緯については「極東国際軍事裁判とラダ・ビノード・パール判事の判決文(反対意見書)」のページでも触れましたが、正確には、現在小学館文庫から発売されている田中正明…

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火の鳥・黎明編と日食神話

先日、朝日新聞出版から刊行がはじまったB5サイズ判の手塚治虫「火の鳥」シリーズは、表紙デザインもかつてぼくらが愛読した朝日ソノラマ版と同じかたちで、文庫判や新書判で読むのはもったいないあのすばらしい画を十分に堪能できるものとなって復刻されることになりました。 小林よしのり著「ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論」のあとがきを読んで、神道学者として活躍されている國學院…

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天皇論についてのノート 皇室祭祀と食儀礼

小林よしのりの新刊「天皇論」を読了。 ゴーマニズム宣言という看板を掲げながらも、ここまで謙虚な姿勢で勉強している知識人がどれだけいることかと思わされる一冊でしたが、今回ぼくが一読して特に啓蒙されてしまったのは、次の言葉でした。 「『新嘗祭』は農耕儀礼ではなく、食儀礼である」 ゴーマニズム宣言SPECIAL天皇論 p.195 これは「宮中祭祀廃止論」の先鋒となっ…

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「パール真論」と「天皇論」

近頃は往年の大ヒット作「おぼっちゃまくん」がパチンコになってリバイバルしているようですが、小学校に入ったばかりの頃から漫画を描くことで頭がいっぱいだったぼくの場合、小林よしのりという異常天才作家との出会いは、デビュー作「東大一直線」にまでさかのぼります。 それから30年、その一介の漫画家が東大を頂点とするアカデミズムの欺瞞をも次々に見破ってしまうおそるべき思想家になってしまったとい…

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パール判事の日本無罪論

すぐれたる 人のふみ見て 思うかな やみ夜を照らす ともしびのごと 板垣征四郎 以前から秘かに想い描いていた、ラダ・ビノード・パール判事へのオマージュをイラストレーションに込めたトリビュート作品の製作に、ようやく着手しました。 きっと近いうちにお目にかけることができると思います。 何よりもひとりの日本人として恥ずかしくないものに…

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クマグスとキンクス

2005年2月には、地球温暖化を防ぐべく温室効果ガス削減を定めた京都議定書が発効しました。 京都議定書の概要 京都議定書ってなんだろう? このニュースはいまだ様々な問題が山積していることも含めて各メディアで大きくとりあげられたものの、ぼくの関心を引いたのは産経新聞がとりあげた「CO2吸収蓄積量 鎮守の森は3倍 都内で調査」という小さな記事でした。 産経新聞より …

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