ヴァシュティ・バニアン - Just Another Diamond Day

ブリティッシュ・フォーク&トラッド・ロック 増補改訂版 ぼくがドノバンやフェアポート・コンヴェンションあたりを糸口に、ペンタングルやスティーライ・スパンといった英国トラッドの香り漂う音楽を好んで聴くようになったのは、1990年代の中頃のことだったと思います。 フリーペーパー「献血劇場」誌上に連載していた「雨の日の女」で柳田國男「遠野物語」を取り上げたときにあえてドノバンの…

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トクマルシューゴ ライブ at 恵比寿リキッドルーム 2010.6.6.

6月6日、ずっと楽しみにしていたトクマルシューゴさんのライブへ、行ってきました。 どのくらい楽しみにしていたかというと、昨年はじめてこの「薬箱手帖」でその音楽について綴ったころから、とにかくライブがすばらしいと聴かされていて、ずっとずっと見てみたいと思い続けていたのです。 【薬箱手帖】 トクマルシューゴ - Rum Hee http://timeand…

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Just Another Honky - 車椅子のロニー・レーンの思い出とフェイセズの再結成によせて

「フェイセズ、ロッド・スチュワートなしで再結成」という音楽ニュースに、思わず反応してしまいました。 http://www.barks.jp/news/?id=1000061465 フェイセズは、ぼくが17歳のころ世界で2番目に大好きだったバンド。 誤解があるといけないので急いで付け加えておくと、ぼくが17歳のころにはとっくに解散していて、当時国内盤ではもう廃盤となっ…

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小池玉緒の歌う「人形劇 三国志」のエンディング・テーマと"Runnin' Away"

支那文学の四大古典小説のひとつ「三国志演義」は、近年の「レッドクリフ」などを例に出すまでもなく、いまなおさまざまな形で作品化されて続けているわけですが、ぼくにとっての「三国志」は、まず中学生の頃に読んだ吉川英治の小説。 吉川英治「三国志」(講談社文庫版) 全5巻 正直言って、個人的にはそのドラマツルギーにそれほど魅了されたわけではなく、吉川英治の作品の中では「宮本…

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トクマルシューゴの待望の4thアルバム「PORT ENTROPY」に寄せて

このブログに「トクマルシューゴ - Rum Hee」の記事を書いて、気になるアーティストとしてご紹介させていただいたのは昨年の7月のこと。 http://timeandlove.at.webry.info/200907/article_4.html その末尾に書いた部分には、ぼくの容姿をよく知る人たちから口々に「ほんとうに似てる」「そっくり」「本人じゃない?」…

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Amarcord Nino Rota - ハル・ウィルナーのフェリーニの映画音楽作品集

ごく私的に、1990年代のベスト・アルバムが前回触れたサニーデイ・サービスの「東京」とするなら、ぼくがリアル・タイムで聴いた1980年代の音楽の中でいまだに最高だったと思っているのはマリアンヌ・フェイスフルの1987年作品「ストレンジ・ウェザー」です。 Marianne Faithfull / Strange Weather このおそろしく魅力的な憂鬱に満ちあふれたア…

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「本日は晴天なり」 - 10年ぶりのサニーデイ・サービス

サニーデイ・サービスのメジャー・デビュー・アルバムが発売されたのは1995年4月21日。もう15年も前のことですが、その発売前日、レコード屋さんに入荷したばかりのこのCDジャケットを目にした時のことを今でも憶えています。 サニーデイ・サービス / 若者たち 1990年代のど真ん中で、はっぴいえんどの「春よ来い」のニール・ヤングみたいに野太いギターの音に痺れながら、永島…

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坂本慎太郎さんからの電話 - ゆらゆら帝国の解散に寄せて

1990年代の初め頃のこと。「ゆらゆら帝国」という変な名前のバンドがおもしろいよ、と教えられたとき、ぼくはその名前に覚えがありました。 少し前に読んだ雑誌「宝島」のネオ・ヒッピー特集号に掲載されていた小さな記事で、貧乏暮らしをしている美大生としてとりあげられたアングラ風な青年が、そんな名前のバンドをやっている、と紹介されていたことが、なぜか印象に残っていたのでした。…

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The Times They Are A Changin' - 続 ボブ・ディランの来日公演に寄せて

ぼくがボブ・ディランのライブを観たのは1994年、3度目の来日のときのことでした。 そのときの演奏で、いまでも印象に残っているのは、"The Times They Are A Changing"。 「時代は変わる」という、時代が変わっても変わらない真実を歌った1964年のヒット曲を古色蒼然としたたたずまいで歌うボブ・ディランと彼のバンドを観ながら、自分がい…

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ロイヤル・アルバート・ホール 1966 - ボブ・ディランの来日公演に寄せて

前回取り上げた「イーゴリ・ストラヴィンスキーとヴァーツラフ・ニジンスキーの『春の祭典』」について、なによりぼくにとって印象深いのは、"Le massacre du Printemps" 「春の虐殺」とまで皮肉られたこの「春の祭典」初演時の混乱と喧噪のようすが、ボブ・ディラン「ロイヤル・アルバート・ホール」のライナーノーツの冒頭に引用されていたことです。 19…

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イーゴリ・ストラヴィンスキーとヴァーツラフ・ニジンスキーの「春の祭典」

ぼくが描いた4つめのマトリョーシカのモチーフは、マトリョーシカが誕生したのと同じ19世紀末のロシアに生まれ、20世紀初頭の世界を席巻したバレエの天才、舞踏の神さま、ヴァーツラフ・フォミッチ・ニジンスキー。ということは前にも触れました。 ニジンスキー・マトリョーシカ #3「春の祭典」 4つめのマトリョーシカ http://timeandlove.at.webry.…

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クラッシュの「ロンドン・コーリング」と万年少女人形館の犬たち

下北沢のギャラリー「無寸草とづづ」にて3/2からはじまった毎年恒例の催し「お砂糖通り人形店」へ、初日の夜、オープニング・パーティにお邪魔してきました。 おかげさまで万年少女人形館の出品作品もおおむねご好評をいただいていたようですが、とりわけ意外だったのは、粘土で作った小さな犬たちが大人気で、この日すでに何匹もが飼い主が決まってお迎えされていったことでした。 こ…

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フェリーニの「道」のジェルソミーナのテーマ

スポーツやオリンピックにはまったく興味がないのですが、バンクーバー五輪のフィギュアスケートの男子フリーで銅メダルを獲得したという高橋大輔選手の競技シーンがテレビで放送されるたび、バックに流れる音楽を聴かされて、胸が詰まるようなたまらない気持ちになってしまいます。 Nino Rota: La Strada; Il Gattopardo; Concerto Soirée …

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それはスポットライトではない - 浅川マキを悼んで

1999年9月9日発行の文芸誌「Ripple」に寺山修司の詩「裏窓」のイメージ・イラストを描いて掲載したとき、この詩を歌った浅川マキに寄せて、ぼくはこんなコメントを記していました。 昔からなんとなく魅きつけられながらもどこか雰囲気負けしてしまうような気がしていた浅川マキの歌のほんとうのステキさに目醒めて病みつきになってしまったのは、実はこの数年来のことです。 その…

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堕ちた天使と熾天使 Seraphim

12月20日の日曜日には、高円寺の手づくり雑貨とお洋服のお店「ninni」へお邪魔して、葉子の万年少女人形館の新作「幸福の王子」ほか、いくつかの作品の納品におつきあいしました。 ninni http://www.too-ticki.com/ninni/ そのついでに、ささやかながらクリスマスのプレゼントを購入しました。 この可愛らしいポ…

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fairytale of New York - ポーグスのクリスマス・ソング

今年も残すところあとわずかということが信じられないような気がするけれど、夜更けの帰り道、路上に吐瀉物を良く見かけるようになると、年の瀬の実感がわいてきます。 そうしてわが家に帰ると、「ラジオでやっていたクリスマス・ソング特集で、『フェアリーテイル・オブ・ニューヨーク』って曲が良かった」と言われて、このすばらしい酔いどれソングのことを思い出しました。 The Pogue…

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扉の冬 - 吉田美奈子のソウルフルな叙景詩

ねこが耳をなでると 雨が降ると言いますので 私は今日は家に居ることにしました 吉田美奈子「ねこ」 先日「富士と筑波と新嘗祭の物忌み」の頁を書きながら、なんとなく吉田美奈子の古い歌を思い浮かべていて、「ぼくはじっと家に引き蘢ってみたいと思います」といってしめくくったあと、久しぶりにレコード棚から彼女のファースト・アルバム「扉の冬」のLPを取り出してみました。 …

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岡崎友紀が歌うフィレス・サウンド・ポップスの「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」

1965年にマリアンヌ・フェイスフルのデビュー曲としてヒットした「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」という歌は、ぼくにとって思い入れの深い一曲です。 リズム・アンド・ブルースのコピー・バンドだったローリング・ストーンズのミック・ジャガーとキース・リチャーズが、マネージャーのアンドリュー・オールダムに無理矢理強いられて初めて作ったというセンチメンタルな歌。 …

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チェルシー・ガールのウインター・ソング - ニコ

数日前に、BSでフェデリコ・フェリーニの映画「甘い生活」を放送するというので、「道」がいちばんのお気に入りのわが家でもこれはぜひ観てみようと言ってチャンネルをあわせていましたが、眠くて眠くて寝てしまい、ようやく最後の方で目が覚めて、ニコが端役で出演しているシーンを見ることができました。 そして今夜、同じくBSで放映されて観てみたのは、1993年のヴェルヴェット・アン…

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ふたつめのマトリョーシカ

先日ご覧いただいた「はじめてのマトリョーシカ」に続いて、ふたつめのマトリョーシカにも絵を描いてみました。 ひとつめとはだいぶ趣きが異なるものにしてみたつもりですが、さっそくこのイメージからの影響を指摘されてしまいました。 Laura Nyro / Eli and the Thirteenth Confession ローラ・ニーロ1968年のアルバ…

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ジム・ジャームッシュ アーリー・コレクション

前回「ワルチング・マチルダ ~ Tom Traubert's Blues」と題してトム・ウェイツのことを綴った前の晩、最近は何を聴いてるの?と訊ねられて、ちょうど頭の中が「トム・トルバーツ・ブルース」のメロディでいっぱいだったのでトム・ウェイツの名前を出したら、映画「コーヒー・アンド・シガレッツ」でイギー・ポップと共演してるのが最高に面白かった、という話になりました。 映画「コ…

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ワルチング・マチルダ ~ Tom Traubert's Blues

そういえばこれまで書いたことがなかったけれど、トム・ウェイツが好きです。 ぼくはお酒を飲みません。けれどこの酔いどれ天使の詩と歌が描き出す世界が大好きなのです。 山崎豊子原作のフジテレビ開局50周年ドラマ「不毛地帯」のエンディング・テーマにも使われることになったという、1976年発表の3作目のアルバム「スモール・チェンジ」収録の代表曲である「トム・トルバー…

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ビートルズでいちばん好きな曲

ビートルズでいちばん好きな曲は?と訊かれて、一瞬のうちに「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」や「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」や「レボリューション」のシングル・バージョンが脳裏をかけめぐったけれど、すぐに「エリナー・リグビー」と即答してしまったことがあります。 そのとき、ぼくに質問した人に同じことを問い返したら、しばらく沈黙したあと、やはり「エリナー・リグ…

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she's a rainbow ♪ meets iMac

いまぼくの目の前にある白いポリカーボネート製のiMac (Late 2006)はわが家で2代目のMacで、それ以前はルビー色をしたiMac 450DV+を2000年から2006年くらいまで愛用していました。 DTPがものすごい勢いで普及していった1990年代、ペーパーセメントを片手に版下を切り貼りしていたぼくはそれ以前からマッキントッシュ~アップル・コンピュータ製品の購入を目論…

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レス・ポール & メリー・フォード - How High the Moon

ぼくらはどちらかというとフェンダー・テレキャスターのようなパキパキと固いサウンドが好きだったけれど、「ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン」あたりで聴くことのできるエレキ・ギターの音にしびれてしまった少年少女だった時代があるぼくらにとって、やっぱりギブソン・レスポールという名前には特別な響きがあります。 その生みの親だったレス・…

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スロー・バラードとトライ・ア・リトル・テンダネス

RCサクセション / 楽しい夕に 8/8・8/9の土日は、九段下の科学技術館で「Tシャツ・ラブ・サミット vol.14」が開催されました。 今回は「姫だるま~マトリョーシカTシャツ」「日本無罪~パール判事Tシャツ」でおなじみ「昭和元禄」から伊勢神宮をモチーフにしたポロシャツ「伊勢ポロ」が発売され、他にもTシャツ・ワークショップでお世話になったsmall designさ…

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広島で死んだ女の子の詩

あけてちょうだい たたくのはあたし あっちの戸 こっちの戸 あたしはたたくの こわがらないで 見えないあたしを だれにも見えない死んだ女の子を あたしは死んだの あのヒロシマで あのヒロシマで 遠いあの日に あのときも七つ いまでも七つ 死んだ子はけっして大きくならないの トルコの反体制詩人で共産主義者でもあったナジム・ヒクメットが19…

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「リリー・マルレーン」と南京のまぼろし

好きなメロディ、といって思い浮かぶ歌のひとつに、「リリー・マルレーン」という古い歌があります。 You Tube : Lili Marlene with color pictures of the german army 映画「嘆きの天使」の100万ドルの脚線美で有名な女優マレーネ・ディートリッヒのレパートリーとして知られるこの歌の旋律を、ときどきふと思い出す。すると…

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トクマルシューゴ - Rum Hee

あまり流行の新しい音楽を追いかけたりしていないわが家ですが、最近はトクマルシューゴの作品にちょっと注目しています。 2004年に1stアルバム「Night Piece」を米NYのインディレーベルMusic Relatedよりリリースして、日本語歌詞であるにも関わらず各国のメディアから絶賛。以後、各国のアニエス・ベーの店舗にて試聴機展開してRolling Stone誌など…

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リーバイ・ストラウス 三色すみれ=野生の思考 ワイルド・ホーセズ

16歳の頃から、ジーンズといえばリーバイスばかりはいています。 ぼくのような反米主義者が、こんなアメリカの象徴のようなファッションにこだわっているのがおかしい、と思われるかもしれません。 けれど、「悲しき熱帯」などの著作でヨーロッパ白人キリスト教文化を普遍とする観念に支配されていたアカデミズムに楔を打ち込んだフランスの構造主義文化人類学者クロード・レヴィ・スト…

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