アリス チェスタートン 柳田國男

また「アリス」の絵を描いてみよう。 そう思って、参考にと昔の「別冊 現代詩手帖」ルイス・キャロル特集号を書棚から出してきたら、ギルバート・キース・チェスタートンの評論「ノンセンスの擁護」に読み耽ってしまい、絵はちっとも進まなくなってしまいました。 「別冊 現代詩手帖」ルイス・キャロル特集号は、1970年代の「不思議の国のアリス」再評価のムーブメントの中心と…

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柳田國男「遠野物語」の100年

2010年6月、柳田國男の最も有名な著書「遠野物語」が刊行されてからちょうど100年。 明治43年6月、自費出版でわずか350部ほどが刷られたというこのささやかな東北の小都市の説話集が、柳田國男という近代日本を代表する知の巨人の原点となり、日本民俗学はもとより、この1世紀にわたって思想・文学の世界にどれほどの影響をおよぼしたことか。 そしてぼく個人も、もしこの一冊との出会いが…

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小村雪岱の「文学としてのデザイン」 ~北浦和・埼玉県近代美術館の小村雪岱展に寄せて

日本人で最もすぐれたグラフィック・デザイナーは?という問いには、まず第一に小村雪岱の名を挙げたいと、ぼくは常々思っていました。 けれど、世間で小村雪岱の名前を耳にすることはほとんどありません。雪岱(せったい)の名の読み方さえ知られていないのではないのでしょうか? 最近では「芸術新潮」2010年02月号で雪岱のことを大特集している、というのでさっそくAmazonで見てみたら、内…

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新潮文庫のアリスと金子國義先生のこと

いま全国の書店で容易に入手できる新潮文庫版の矢川澄子訳 「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」の挿画は金子國義が手がけたもので、その装丁を眺めていて久しぶりに金子先生のことを思い出しました。 矢川澄子訳 「不思議の国のアリス」 (新潮文庫) 挿絵:金子國義 もう10年かそれ以上前のことで、おそらく先生ご本人のご記憶にも残ってはいないかもしれませんが、ご縁があって…

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坂本龍馬と昭憲皇太后の夢

【坂本龍馬についてのノート その1】 坂本龍馬という人物はかねてより国民的な人気がある幕末の英傑ですが、近頃はまたNHK大河ドラマ「龍馬伝」がスタートしたこともあって、あちこちでその名を耳にするようになりました。 けれど、坂本龍馬の成し遂げたこと・成し遂げようとしたことの歴史的評価をめぐっては、ぼくの意見は世間のそれとはちょっと趣を異にするのではないかと思っていたので、そ…

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オスカー・ワイルドの「幸福な王子」と法隆寺の捨身飼虎図

葉子の万年少女人形館の新作陶土人形は「幸福な王子」をイメージして作ってみたので、そのお人形を入れる箱を製作してほしい、との依頼を受けました。 童話「幸福な王子」をはじめて読んだ、というより耳にしたのはまだ幼稚園児のころ。 「東京こどもクラブ」の朗読レコードで聴きながら絵本を眺めたのが最初の出会いだったと記憶しています。 なんだかとても悲しくて、心に残るお…

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Hanakoの神社特集と文学指向症

ぼくは昔から神社が好きだったけれど、ひどく出不精なためにあまりお参りにも行くこともできずにいましたが、2009年は念願だった伊勢神宮への参拝をきっかけに、御朱印帳を持ってお出かけする楽しみに目覚めてしまいました。 そうしてあちらこちらのお社を訪れて強く感じたのは、若い女性にも神社巡りが人気と言われていることが決して空事ではなく、ほんとうに静かなブームとして確実に盛り上がっているとい…

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2009年のふたご座流星群

ふたご座流星群がピークをむかえる夜更け、今年は月もなく条件がいいというので、ちょっとだけ寒さをこらえて外に出て、いくつかの流れ星を見ました。 いまから4半世紀も前になってしまいますが、中学生の頃はわざわざ日本流星協会から取り寄せた星図や観測用紙などを携えて、この流星群を観測してみたものです。 厳寒の中で何時間も夜空にむかっていたそのころでも見たことがなかったような、くっきりと…

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扉の冬 - 吉田美奈子のソウルフルな叙景詩

ねこが耳をなでると 雨が降ると言いますので 私は今日は家に居ることにしました 吉田美奈子「ねこ」 先日「富士と筑波と新嘗祭の物忌み」の頁を書きながら、なんとなく吉田美奈子の古い歌を思い浮かべていて、「ぼくはじっと家に引き蘢ってみたいと思います」といってしめくくったあと、久しぶりにレコード棚から彼女のファースト・アルバム「扉の冬」のLPを取り出してみました。 …

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市ヶ谷の街と昭和45年11月25日の三島由紀夫

もうずいぶん前のことですが、雑誌の版下作りのアルバイトをしていて、数ヶ月のあいだ市ヶ谷の自衛隊駐屯地の坂を上ったところにある東洋最大の印刷会社に通っていたことがあります。 当時はたまたま持ち歩いていた文庫本、海野弘「モダン都市東京―日本の1920年代」にちょうど出てくる吉行あぐり美容室の跡などを偲んだりしていたくらいで、特別にその街の歴史を気にかけることもありませんでした。 …

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富士と筑波と新嘗祭の物忌み

今日11月23日は、現在の法律では「勤労感謝の日」とされている新嘗祭の日。 日本国でいちばん大切なおまつりである践祚大嘗祭と、それに連なる年毎の新嘗祭のことについては、これまでにも「天皇論についてのノート 皇室祭祀と食儀礼」「伊勢の神宮の神嘗祭の日に」の頁でくりかえして触れてきましたが、平成21年のこの日をむかえて、今日は皇室祭祀に限定されることなく、あまねくこの民族に共有されてき…

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ワルチング・マチルダ ~ Tom Traubert's Blues

そういえばこれまで書いたことがなかったけれど、トム・ウェイツが好きです。 ぼくはお酒を飲みません。けれどこの酔いどれ天使の詩と歌が描き出す世界が大好きなのです。 山崎豊子原作のフジテレビ開局50周年ドラマ「不毛地帯」のエンディング・テーマにも使われることになったという、1976年発表の3作目のアルバム「スモール・チェンジ」収録の代表曲である「トム・トルバー…

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溝口健二の映画「雨月物語」とフェリーニの「道」

火曜日はBSで良さそうな映画をやるみたいだから早く帰って来れたらいいね、と言われていたのを思い出して、その日は急いで帰って、いつもより灯りを暗くして間接照明だけで夕ご飯を食べながらテレビを観ました。 映画は、溝口健二監督作品「雨月物語」。 良かった。久しぶりに心から魅きつけられて、打ちのめされるような思いがしました。 ぼくは映画のことにはとても疎…

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紀元節 折口信夫 マトリョーシカ

2月11日の紀元節。わが国が生まれた建国記念日に擬せられているこの日は、奇しくも日本の核心を詩歌と学問の両面からその生涯にわたって探求し続けた釋迢空・折口信夫博士の誕生日でもありました。 「ほんの最近、種村季弘氏と話していると、泉鏡花のすぐれた小説には、『入れ籠』の異郷とでも言ったらいいような形がよく用いられている。あれは折口さんの書いたものを読んで影響されたのではないだろうか、と…

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they're all wasted !

この11月、ぼくは結局観に行くことができませんでしたが、the Whoの単独来日公演がついに実現しました。 フーといえば、↑こんな映像を見てうっかりしびれてしまっていたぼくが10代の頃、すでにキース・ムーンはこの世に亡く、「フーズ・ラスト」という最後のライブ・アルバムを残して潔く解散してしまったバンドとして伝説的な存在だったものです。 そんな彼らがこの期に及んでやって…

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