薩摩の国のアリスたち ~ルイス・キャロルと島津斉彬の少女写真

「不思議の国のアリス」の作者としておなじみのルイス・キャロルこと、チャールズ・ラトウィッジ・ドジソンといえば、その文学の仕事と並んで、黎明期の写真芸術史を彩る数々の作品を残していることで知られています。 写真家ルイス・キャロル (写真叢書) ヴィクトリア朝のアリスたち―ルイス・キャロル写真集 なかでも、「アリス」の物語のモデルとなった実在のアリス・リデル…

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それはスポットライトではない - 浅川マキを悼んで

1999年9月9日発行の文芸誌「Ripple」に寺山修司の詩「裏窓」のイメージ・イラストを描いて掲載したとき、この詩を歌った浅川マキに寄せて、ぼくはこんなコメントを記していました。 昔からなんとなく魅きつけられながらもどこか雰囲気負けしてしまうような気がしていた浅川マキの歌のほんとうのステキさに目醒めて病みつきになってしまったのは、実はこの数年来のことです。 その…

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2010年のアリス・イン・ワンダーランド

むかし、「不思議の国のアリス」の画を、好んで描いていたことがあります。 1997年、小説家の速瀬れいさんが主宰していた文芸誌「Ripple」に掲載した上のイラストは、ジェファーソン・エアプレイン1967年のアルバム「シュールレアリスティック・ピロー」に収められたサイケデリック・チューン「ホワイト・ラビット」の挿絵として描いた中の1枚。 Surreali…

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坂本龍馬をお祀りする神社

【坂本龍馬についてのノート その3】 ※その1・「坂本龍馬と昭憲皇太后の夢」 ~その2・「坂本龍馬と万国公法」もあわせてご一読下さい。 坂本龍馬をお祀りする神社といえば、平成10年11月に高知県佐川町の龍馬公園内に設けられた「佐川龍馬神社」という小祠があり、平成19年にはこれが岐阜県中津川市の坂本八幡神社にも神職の方の熱意によって分祀が実現した、ということで、近年の人気…

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坂本龍馬と万国公法

【坂本龍馬についてのノート その2】 ※その1・「坂本龍馬と昭憲皇太后の夢」の続きです。 土佐勤王党の同志であった檜垣清治という人物が龍馬と再会したとき、檜垣が当時土佐で多く用いられていた長刀を差しているのに対し、龍馬は短めの刀を差していたのでその理由を尋ねると、「実戦では短い刀に利がある」と説明。 その発想に納得した檜垣清治は、次に龍馬と再会したとき、自分も短い刀…

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坂本龍馬と昭憲皇太后の夢

【坂本龍馬についてのノート その1】 坂本龍馬という人物はかねてより国民的な人気がある幕末の英傑ですが、近頃はまたNHK大河ドラマ「龍馬伝」がスタートしたこともあって、あちこちでその名を耳にするようになりました。 けれど、坂本龍馬の成し遂げたこと・成し遂げようとしたことの歴史的評価をめぐっては、ぼくの意見は世間のそれとはちょっと趣を異にするのではないかと思っていたので、そ…

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オスカー・ワイルドの「幸福な王子」と法隆寺の捨身飼虎図

葉子の万年少女人形館の新作陶土人形は「幸福な王子」をイメージして作ってみたので、そのお人形を入れる箱を製作してほしい、との依頼を受けました。 童話「幸福な王子」をはじめて読んだ、というより耳にしたのはまだ幼稚園児のころ。 「東京こどもクラブ」の朗読レコードで聴きながら絵本を眺めたのが最初の出会いだったと記憶しています。 なんだかとても悲しくて、心に残るお…

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伊勢神宮のお札「神宮大麻」と「小さな神社」がある暮らし

12月25日、わが家からメールが来たので見てみると、「埼玉県神社庁から、何か郵便物が届いてるよ」。 開封して写真に撮って送ってもらうと、小さな木の板きれが二つと、さらに小さな可愛らしい白木の鳥居がひとつ。 それを見て、数ヶ月前に秩父三社めぐりをしたときに葉書をもらって応募した「『小さな神社』がある暮らし-鳥居付きお札立てプレゼント」というキャンペーンに当選した…

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堕ちた天使と熾天使 Seraphim

12月20日の日曜日には、高円寺の手づくり雑貨とお洋服のお店「ninni」へお邪魔して、葉子の万年少女人形館の新作「幸福の王子」ほか、いくつかの作品の納品におつきあいしました。 ninni http://www.too-ticki.com/ninni/ そのついでに、ささやかながらクリスマスのプレゼントを購入しました。 この可愛らしいポ…

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天長祭と七人のサムライ

12月23日といえば、今上天皇陛下の御誕生日。 国民の祝日であるこの日、皇居では祝賀の儀や一般参賀が催され、伊勢神宮をはじめ全国の神社では天長祭が執り行われ、国を挙げてお祝いしご長寿をお祈りするおめでたい日。 それなのに、ぼくはちょっと複雑な思いを抱かずにはいられません。 先の大戦の後に開かれた極東国際軍事裁判で、インド代表のラダビノード・パール判事が法廷そのものの欺瞞…

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fairytale of New York - ポーグスのクリスマス・ソング

今年も残すところあとわずかということが信じられないような気がするけれど、夜更けの帰り道、路上に吐瀉物を良く見かけるようになると、年の瀬の実感がわいてきます。 そうしてわが家に帰ると、「ラジオでやっていたクリスマス・ソング特集で、『フェアリーテイル・オブ・ニューヨーク』って曲が良かった」と言われて、このすばらしい酔いどれソングのことを思い出しました。 The Pogue…

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Hanakoの神社特集と文学指向症

ぼくは昔から神社が好きだったけれど、ひどく出不精なためにあまりお参りにも行くこともできずにいましたが、2009年は念願だった伊勢神宮への参拝をきっかけに、御朱印帳を持ってお出かけする楽しみに目覚めてしまいました。 そうしてあちらこちらのお社を訪れて強く感じたのは、若い女性にも神社巡りが人気と言われていることが決して空事ではなく、ほんとうに静かなブームとして確実に盛り上がっているとい…

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2009年のふたご座流星群

ふたご座流星群がピークをむかえる夜更け、今年は月もなく条件がいいというので、ちょっとだけ寒さをこらえて外に出て、いくつかの流れ星を見ました。 いまから4半世紀も前になってしまいますが、中学生の頃はわざわざ日本流星協会から取り寄せた星図や観測用紙などを携えて、この流星群を観測してみたものです。 厳寒の中で何時間も夜空にむかっていたそのころでも見たことがなかったような、くっきりと…

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日本無罪モラトリアム Wikipediaのパール判事

久しぶりに「パール判事の日本無罪論」のおはなしを書きます。 今年の5月に発売した「日本無罪~パール判事トリビュートTシャツ」は、これまで東京裁判のことなどにまったく無関心だった方にも思いのほかご好評いただいているようで、先日の「26人のマトリョーシカ展」でご一緒した方からも「あのミュシャ風のイラストも稲村さんの作品ですよね」とお声をかけていただきました。 そん…

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写真と古道具のくらし

11月22日の日曜日には、6月のTシャツ・イベント「黄金ノ國ノ夜明ケ」でお世話になったのを機会に、その隠れ家的な場所と古くて味わいのある調度品が調和した空間がすっかり気に入ってときどき訪れている茅場町のリビング・ギャラリー・スペースMAREBITOにまたおじゃまして、「写真と古道具のくらし」の展示を見せていただきました。 今回は、雷鳥社から「写真でつくる雑貨」という本を上梓されてい…

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扉の冬 - 吉田美奈子のソウルフルな叙景詩

ねこが耳をなでると 雨が降ると言いますので 私は今日は家に居ることにしました 吉田美奈子「ねこ」 先日「富士と筑波と新嘗祭の物忌み」の頁を書きながら、なんとなく吉田美奈子の古い歌を思い浮かべていて、「ぼくはじっと家に引き蘢ってみたいと思います」といってしめくくったあと、久しぶりにレコード棚から彼女のファースト・アルバム「扉の冬」のLPを取り出してみました。 …

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市ヶ谷の街と昭和45年11月25日の三島由紀夫

もうずいぶん前のことですが、雑誌の版下作りのアルバイトをしていて、数ヶ月のあいだ市ヶ谷の自衛隊駐屯地の坂を上ったところにある東洋最大の印刷会社に通っていたことがあります。 当時はたまたま持ち歩いていた文庫本、海野弘「モダン都市東京―日本の1920年代」にちょうど出てくる吉行あぐり美容室の跡などを偲んだりしていたくらいで、特別にその街の歴史を気にかけることもありませんでした。 …

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富士と筑波と新嘗祭の物忌み

今日11月23日は、現在の法律では「勤労感謝の日」とされている新嘗祭の日。 日本国でいちばん大切なおまつりである践祚大嘗祭と、それに連なる年毎の新嘗祭のことについては、これまでにも「天皇論についてのノート 皇室祭祀と食儀礼」「伊勢の神宮の神嘗祭の日に」の頁でくりかえして触れてきましたが、平成21年のこの日をむかえて、今日は皇室祭祀に限定されることなく、あまねくこの民族に共有されてき…

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岡崎友紀が歌うフィレス・サウンド・ポップスの「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」

1965年にマリアンヌ・フェイスフルのデビュー曲としてヒットした「アズ・ティアーズ・ゴー・バイ」という歌は、ぼくにとって思い入れの深い一曲です。 リズム・アンド・ブルースのコピー・バンドだったローリング・ストーンズのミック・ジャガーとキース・リチャーズが、マネージャーのアンドリュー・オールダムに無理矢理強いられて初めて作ったというセンチメンタルな歌。 …

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